“地域に開かれたお寺”自元寺で「白州」を知るオリエンテーション
朝10:20、まず初めに「“地域に開かれたお寺”自元寺で『白州』を知るオリエンテーション」がスタート。会場には、東京・神奈川などの隣県や、遠方では愛知からと、様々な地域、年齢の参加者の皆さん10名が集まってくださいました。辻さんをファシリテーターに「元々白州に興味があった」「自然が豊かな場所に拠点が欲しい」「趣味である登山を日常的に楽しみたい」など、皆さんそれぞれの参加理由と目的を話していただきました。
続いて2023年より北杜市に移住し、“地域おこし協力隊”として活動されている大輪崇人(おおわしゅうと)さんより、自身の実体験を踏まえたまちのプレゼンテーション。中でも皆さんが関心を示していたのは、行政からの手厚い“支援制度”でした。北杜市には、移住や住宅、子育て、就労など、分野によって最大150万円の補助金・助成金制度が設けられています。移住定住者の呼び込みに積極的な北杜市の取り組みに対し、真剣に耳を傾けている皆さんの様子が印象的でした。
最後に自元寺の住職である山﨑秀典(やまざきしゅうてん)さんから、この地で生まれ育った自身の思い出や体験談を織り交ぜつつ、白州の歴史や文化、魅力を語っていただき、オリエンテーションは終了。いよいよここからまちに繰り出していきました。
白州の自然環境を活かした“こだわりのお店”をめぐる「まちあるき」
自元寺を出るとすぐに「旧甲州街道」に差し掛かり、「白州の自然環境を活かした“こだわりのお店”をめぐる『まちあるき』」がスタート。江戸時代からの歴史情緒を漂わせる街道を歩きながら、辻さんより近隣の小学校や病院などが紹介されていきました。
途中、ハード系が売りの人気パン屋さん「ゼルコバ」や、きのこ専門店「白州・山の水農場」に立ち寄り、和やかな試食&買い物タイムへ。いずれも移住されてきた方々が切り盛りするお店。水や食材が良質な北杜市では、県外からの出店や移転をしている飲食店が増えています。お土産片手にパンを頬張りつつ、皆さんそれぞれの境遇や将来の生活についてお話されていたのが印象的でした。
デリカテッセン「Koma」の白州野菜を味わうオーガニックランチBOX
ツアーは江戸時代に甲州街道の宿場町として繁栄した台ヶ原宿へ。古民家や蔵が散在する街並みの一角、老舗和菓子店「金精軒」を会場に、「デリカテッセン『Koma』の白州野菜を味わうオーガニックランチ」が始まりました。
参加者にランチボックスが配られると、2024年1月にオープンを控える「デリカテッセン『Koma』」の代表である小野絢子(おのあやこ)さんから、料理についての説明がスタート。この日振る舞われた料理は全て白州の有機野菜が使われており、瑞々しく風味豊かな味わいに参加者の皆さんも舌鼓を打ちます。
実は現金精軒代表の娘さんである小野さん。地元高校を卒業し、10年間の上京生活を経てイギリス・ロンドンへ渡航。有名デリカテッセン「オットレンギ」でシェフを勤める中で、「生まれ育った白州の水や野菜、環境の素晴らしさを伝えたい」と思うようになり、本年2023年に北杜市へUターンを決意したのだそうです。「良質な食材を食べていると身体の調子もいい」と、改めて白州の環境が恵まれていることに日々気付かされると言います。
ランチタイムを終えた皆さんは、食休みを兼ねた自由散策タイムへ。台ヶ原のまちへ繰り出していきました。
自由散策〜「ここがこうだよ白州トーク」先輩移住者との座談会
伝統的な酒蔵「七賢」や地元の家族が営む「台ヶ原珈琲」などを訪れつつ、「甲州街道の宿場町『台ヶ原宿』で白州の歴史を感じる」自由散策を終えた皆さんは、再び金精軒に集合。「『ここがこうだよ白州トーク』先輩移住者との座談会」が始まります。
先輩移住者として参加したのは冒頭のまち歩きで訪れた「白州・山の水農場」代表の水谷三重子(みずたにみえこ)さんと、コロナ禍をきっかけに白州に移住し、フリーランスエンジニアとして移住前の仕事を継続している武藤和寛(むとうかずひと)さん・露子(つゆこ)さんご夫妻。いずれも大手飲料メーカーが拠点を置くほどの「綺麗な水」と「美しい自然」に惹かれたという共通の移住理由をあげつつも、住まいの見つけ方や、地域自治体との関係性、仕事や子育ての形などは三者三様。白州に住んで「良かったこと・苦労したこと」をつまびらかに語っていただきました。
水谷さん:「当然理想と違っていたり大変なこともあるけれど、きれいな水や空気、良質な食べ物とともに暮らしていると、ストレスを感じないんです」
武藤さんご夫妻:「周りに色々な事に挑戦している人や、それを応援してくれている人が多いので、失敗への恐れや経済面の不安を感じなくなってきています」
苦労もありつつ、充実した暮らしを実践している先輩移住者たちの言葉に耳を傾ける皆さん。「こうしたリアルな声が聞ける機会は貴重」と、有意義な座談会に満足気な笑みを浮かべていました。
焚き火を囲みながら地元住民とまったりコーヒーブレイク
名峰「甲斐駒ヶ岳」裾野に広がる白須地域の田園地帯へ移動し、ツアープログラムクライマックスとなる「焚き火を囲みながら地元住民とまったりコーヒーブレイク」がスタートします。
淹れたてのコーヒーと焚き火で身体を温めつつ、マシュマロや焼き芋を頬張る時間。夕暮れ時の美しい空模様の中、西に南アルプス、北東に八ヶ岳の絶景を望みながら、地元住民の皆さんや参加者の皆さん同士での交流を楽しみました。
「綺麗」「気持ち良い」「良いところ」などの嬉しい声が飛び交い、1日を通して白州の魅力を実感していただいている様子が伺えました。
振り返りワークショップ〜地酒や地元のお店の食事を味わう「ちょい呑み屋」で乾杯
集合場所の自元寺に戻ってきたのは、辺りがすっかり暗くなった17:30付近。盛りだくさんのプログラムを終えた皆さんには、振り返りワークショプに取り組んでいただきました。
「観光では体験できない経験になった」
「食のレベルや文化度の高さを実感した」
「自然環境だけでなく、まちや人も素敵だった」
「暮らしていくイメージが高まった」
など、多くのポジティブな感想をあげていただき、満足感を表情に滲ませる皆さんの姿を見ることができ、運営チームとして一定数の手応えを感じることができました。
最後にご希望の方に参加いただき、地域住民の皆さん、運営チームによる懇親会「地酒や地元のお店の食事を味わう『ちょい呑み屋』で乾杯」が催され、日帰り移住体験ツアー「めぐる白州」の締めくくりへ。近隣のお店やワイナリーさんからテイクアウトした料理やドリンクを味わいつつ、より深い地元トークに花を咲かせ、大盛り上がりの中で全工程が終了しました。
「新しい暮らし」への土壌造りを
今回の「日帰り田舎暮らし体験 めぐる白州 」の開催を終えて、白州を始め、北杜市が高いポテンシャルを持ち、多くの人から関心を持っていただいている地域かと言うことを、改めて実感する事ができました。
しかし一方で、そう言った移住者を受け入れる「住まい」の戸数が追いついていない実情にも向き合って行かなければならないと、建設業者として課題を痛感する結果ともなりました。
北杜市では「空き家バンク」などの施策にも取り組んでいるものの、実際建物の持ち主は「顔が見える相手」「信頼のおける人」に家を譲りたいと考えているのが実情。多くの場合が個人間の紹介でやりとりがされており、実際不動産情報として出回ることは、その中の少数に留まってしまっています。
コロナ禍以降、山梨のような地方への移住を考えられる人が増えている昨今ですが、実際に移住へ踏み切った方々にお話を伺うと
『住まい』『仕事』『コミュニティ』
が大切であるという話をよく聞きます。確かにいくら思い描く理想があったとしても、3つの内どれかが欠けてしまったら生活はままならない。特に子育てに時間や金銭的なコストを費やさなければならない若年層にとっては、この条件は切実なものです。
そうした実情に対し巧光建設としてできることは、白州を中心に各地で移住者や関係人口を増やすための住まい造りをしていくこと。また地域に根差す企業だからこそ、そこに住む人たちだけではなく、まちの人々を巻き込み、コミュニティやビジネスが生まれるような仕組みを作っていくこと。これらが地域に根差す建設会社が取り組むべき使命だと思っています。
人々が寄り合い、暮らしを楽しみ、コミュニケーションの中から新たなビジネスアイディアやクリエイティブが生まれていく。そんな営みを目指して、今後様々な企画・構想を展開して参ります。また今回のような「日帰り田舎暮らし体験ツアー」等のイベント開催も検討しておりますので、ぜひ引き続き公式WEBやSNSでの発信をチェックしていただけましたら幸いです。
最後になりますが、今回「めぐる白州」にご参加いただいた皆さま、本当にありがとうございました!一度来てみた方も、まだ来た事がない方も、この白州のまちでお会いしましょう!お待ちしています。